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【レジ袋有料化の真実】レジ袋有料化から5年、環境への効果は?数字とデータで暴く「エコのつもりが逆効果?」

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レジ袋有料化は本当に必要だったのか?数字とデータで検証してみた

2020年7月から始まったレジ袋有料化。あれから5年が経ち、すっかり「マイバッグを持ち歩く」生活が定着した。でも、ふと立ち止まって考えると、「あれって本当に環境のためになってたの?」という疑問が頭をよぎる人も少なくないはずだ。感情論ではなく、データと研究をもとに、この制度の実態を整理してみた。


そもそもなぜ有料化されたのか

2020年7月1日、経済産業省・環境省が主導する形で、全国の小売店でプラスチック製レジ袋の有料化が義務付けられた。

制度の目的を政府の公式ガイドラインで確認すると、「プラスチック廃棄物を直接減らすこと」ではなく、「消費者のライフスタイル変革を促すこと」がメインの狙いだったと明記されている。

背景にはこういった事情がある。

  • 日本のプラスチック廃棄量は年間約850万トン(2019年)で、一人あたりの容器包装廃棄量は世界2位とされていた
  • 2018年のG7サミットで「海洋プラスチック憲章」が採択され、国際的な脱プラ圧力が高まっていた
  • 2050年には「海洋プラスチックの重量が魚の重量を超える」という試算も注目を集めていた

制度の仕組みとしては、対象は「持ち手付きのプラスチック製買い物袋」に限定され、紙袋・布袋・厚手の袋(50マイクロメートル以上)・バイオマスプラスチック25%以上配合の袋などは対象外とされた。


数字で見る「確かに効いた」部分

有料化の効果として、レジ袋の使用量が大幅に減少したのは事実だ。

流通量・辞退率の変化

  • 国内レジ袋流通量:約20万トン(2019年)→ 約10万トン(2021年)と約半減
  • コンビニのレジ袋辞退率:約23% → 約75%へ上昇
  • スーパーの辞退率:約57% → 約80%へ上昇
  • ドラッグストアの年間使用枚数:約33億枚 → 約5億枚(約84%減)

また、2024年度のデータではスーパーの辞退率がさらに83.28%にまで上昇しており、制度開始前に50%台にとどまっていた時期と比べると、確実に行動変容が起きているという指摘がある。

廃プラスチック排出量への影響

施策開始直後の1年間で、日本の廃プラスチック排出量は850万トンから822万トンへと28万トン減少したというデータもある。リサイクルされずに焼却・埋め立て処理された量も合わせて減少しており、一定の効果はあったとされる。

意識改革の面では

  • 1週間レジ袋を使用しなかった人の割合:30.4% → 71.9%に急増
  • プラスチック製品全般を環境に配慮して使おうと意識する人が約4割に達したという調査結果もある
  • 有料化1年後の消費者アンケートでは「成功だった」が38.3%、「失敗だった」が23.1%、「どちらとも言えない」が38.7%という結果が出ている

では「環境問題の解決」につながったのか

ここからが問題だ。「レジ袋を減らすこと」と「プラスチックごみ問題を解決すること」は、必ずしも同じではない。

レジ袋は廃プラ全体の2〜3%にすぎない

日本で排出されるプラスチックごみのうち、レジ袋が占める割合はわずか2〜3%程度とされている。環境省の発表では、漂流プラスチックごみのうちレジ袋が占める重量割合はさらに低く、約0.4%にとどまるというデータもある。漂流ごみの大半は漁網・ロープ(約41.8%)や浮きなどが占めており、「レジ袋が海洋汚染の主犯」という図式は、データ上は必ずしも正確ではないという指摘がある。

ゴミ袋問題:結局プラスチックは減ったのか

有料化が生んだ「リバウンド効果」として、よく指摘されるのがゴミ袋問題だ。

  • これまでレジ袋を家庭のゴミ袋として再利用していた消費者が、代わりにポリ袋を別途購入するケースが増加
  • 調査では約3割の人が「ポリ袋の購入が増えた」と回答
  • 制度開始直後には家庭用ゴミ袋の売り上げが2倍になったというデータも報告されている

ただし、日本ポリオレフィンフィルム工業組合のデータでは、ゴミ袋の出荷量はあまり大きな変化がみられないという見方もある。ゴミ袋問題については、数字の見方によって評価が分かれているのが現状だ。

家庭から出るプラスチックごみの総量については、約8割の人が「変わらない」と回答しており、レジ袋単体を減らしても全体への影響は限定的だという見方は根強い。


「エコバッグならエコ」は本当か ── LCAの落とし穴

(LCA=ライフサイクルアセスメント。製品を作って捨てるまで全工程の環境負荷を数値化する評価方法のこと)

エコバッグがレジ袋より「環境にやさしい」かどうかは、何回使うかによって大きく変わる。研究データによると、レジ袋を1回使い捨てた場合と同等の環境負荷まで下げるには、次の使用回数が必要とされている。

素材必要な使用回数
ポリエステル製バッグ35回以上
布製エコバッグ840回以上
オーガニックコットン製2,400回以上
紙袋11回以上

これほど多くの回数が必要な理由は、エコバッグの製造時・輸送時に大量のエネルギーを消費するためだ。

紙袋への代替も単純ではない

紙袋なら問題ないかというと、そうでもないという指摘がある。紙袋の製造過程では特殊な化学物質が使用されるため、プラスチック製レジ袋と比べて大気汚染物質は約70%多く水質汚染物質は約50倍多く発生するという報告がある。また、紙袋は水に弱く破れやすいため、11回以上の再利用が実質的に難しいケースも多いとされている。

イギリスでは有料化の対象外だった紙袋を店が無料で配布した結果、プラスチック削減の目的に逆行したとして批判を受けた事例もある。

洗濯のエネルギーも加わる

エコバッグは肉や魚の液汁で汚れやすく、農林水産省なども定期的な洗濯を推奨している。しかし洗濯に使う水と電気のエネルギーが加わると、「エコ」と言えるまでのハードルはさらに高くなるという指摘もある。


現場が感じた「使いにくさ」

制度の影響は消費者だけでなく、店舗の現場にも及んだ。マイナビニュースが実施した接客従業員へのアンケートでは、レジ袋有料化に「反対」が55.2%、「賛成」が44.8%と、反対が上回った。

反対派から挙がった主な声はこうだ。

  • 「レジの度に袋が必要かどうか確認する作業が増えて、レジ時間が長くなった」(コンビニ)
  • 「エコバッグ持参でも袋詰め作業はそれほど減らない」(コンビニ)
  • 「袋がいらない場合、各商品にシールを貼らなければならない。袋にまとめた方が楽」(パン屋)
  • 「有料のレジ袋を買いたくない客からの暴言があった」

マイバッグの普及に伴い、店内で未会計の商品をバッグに入れる万引きが増加したとの報告も当初は多かった。その後、関係者からは「大きな差異はなく落ち着いた」という声もあるが、有料化直後の混乱は現場に一定の負担をかけたと報じられている。


諸外国の事例から見えること

世界60か国以上がレジ袋の禁止・有料化に踏み切っているが、その成果と課題はさまざまだ。

  • イギリス:2015年の有料化後、1人あたりの年間使用枚数が約140枚から約10枚に減少。海岸で見つかるレジ袋の数も60%以上減少したとされる。一方で有料化対象外の紙袋が増えたことで、CO2排出量が増えたという批判も出た。
  • バングラデシュ:2002年に世界初のレジ袋禁止国となったが、禁止令は効果を発揮しておらず、現在も非生分解性のレジ袋が街中にあふれているという。
  • 中国:2021年から禁止したが、罰金制度(最大190万円相当)を設けて強制力を持たせる方式を取っている。

「プラスチック資源循環法」が示す本来の方向性

こうした課題を踏まえ、2022年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法は、レジ袋単体よりも広い視野で資源循環を考える枠組みを打ち出した。

主な対象として、フォーク・スプーン・ナイフ・マドラー・ストロー・ヘアブラシ・くし・かみそり・シャワーキャップ・歯ブラシ・ハンガー・衣類用カバーの12品目が新たに規制対象となった。

方向性としては、単に素材を替えるだけでなく、「製品の設計段階からの減量化・長寿命化・リサイクル」という、ライフサイクル全体での取り組みを重視する内容となっている。


まとめ:制度の効果と限界

レジ袋有料化を整理すると、こうなる。

効果があったとされる点

  • レジ袋の流通量は約半減し、辞退率は劇的に上昇した
  • 廃プラスチック排出量の抑制に一定の貢献があった
  • 「プラスチックを無意識に使う」文化を見直すきっかけになった

課題・限界とされる点

  • レジ袋はプラスチックごみ全体の2〜3%にすぎず、単体の削減効果は限定的という指摘がある
  • ゴミ袋の別途購入増加など、リバウンド効果が生じたという報告がある
  • エコバッグ・紙袋への安易な代替も、LCAの観点では必ずしもエコではないという指摘がある
  • 現場の店員の過半数が「反対」と答えるなど、オペレーション上の負担が生じた

東京大学特任研究員の保坂直紀氏は、「レジ袋の使用量は減ったが、プラごみ廃棄量は横ばい状態だ。政府がその理由を検証し、改善することを怠っているため、国民は多くの政策にモヤモヤ感を抱いてしまう」と指摘しているという。

制度自体は継続されており、プラスチック資源循環法によってより包括的な取り組みへと深化している。レジ袋有料化を「始まり」として、製品の設計から廃棄までのライフサイクル全体でどう資源を使うかという議論へ、関心を広げていくことが重要だという指摘がある。


参考・情報源

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