旧統一教会に解散命令――東京高裁が抗告棄却、清算手続きへ(2026年3月4日)
ニュースの概要
2026年3月4日、東京高等裁判所は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の即時抗告を棄却し、2025年3月の東京地裁による解散命令を支持する決定を下した。宗教法人法の規定により、解散命令は高裁決定の時点で効力を持つ。これを受けて教団資産の清算手続きが正式に開始される。
教団の概要は以下の通り。
- 1954年、文鮮明氏が韓国で創設
- 日本本部は東京都渋谷区
- 総資産は約1100〜1136億円
- 全国に約280か所の施設、約8万人の信者
教団は高裁決定を不服として最高裁への特別抗告を表明。ただし清算手続きは最高裁の判断を待たずに並行して進む。
要点
解散命令の根拠 東京地裁は、1980年代以降に信者が全国的・組織的に違法な献金勧誘を行い、「類例のない膨大な規模」の被害が生じたと認定。民法上の不法行為を根拠とした解散命令は日本初のケース。
清算と被害者救済 裁判所が選任した清算人が約1100億円超の資産を処分し、献金被害者ら債権者への弁済に充てる。残余財産は教団規則が定める後継団体または国庫へ引き継がれる。文科省は2025年10月、清算人の権限が宗教法人法上曖昧との指摘を受け、債権申し出の長期受付や妨害行為への刑事責任追及などを盛り込んだ指針を策定済み。
解散後の教団活動 宗教法人格と税制優遇は失われるが、信者は任意団体として信仰・布教活動を継続できる。
最高裁への抗告 特別抗告が認められるには憲法違反の立証が主な要件となるため、教団側の主張が通る可能性は高くないとみられている。
争点
| 争点 | 国・裁判所側の立場 | 教団側の立場 |
|---|---|---|
| 解散の必要性 | 違法な献金勧誘が長期・組織的に行われ、被害は著しく公共の福祉を害する | 補償委員会設置・集団調停成立など被害回復を進めており、解散は不要 |
| コンプライアンス宣言(2009年)の評価 | 宣言後も違法な勧誘が継続していた | 宣言後は再発防止を徹底しており改善された |
| 信教の自由との関係 | 解散は法令違反への対処であり、信仰活動は継続できる | 国家による信教の自由への侵害にあたる |
| 清算人の権限 | 文科省が2025年10月に指針を策定し対応 | 宗教法人法上、清算人の権限が曖昧との懸念が残る |

正直に申し上げると、「被害回復に取り組んでいるから解散しないでほしい」という教団側の主張には、なかなかの厚かましさを感じました。数十年にわたって組織ぐるみで信者を苦しめておいて、いざ解散となったら「もう反省しています、ちゃんと返しています」でなんとかなると思っていたのでしょうか。しかも返金総額は約3000万円。1100億円超の資産を持つ団体の”誠意”としては、あまりにも小さな数字に見えます。
2009年のコンプライアンス宣言についても、高裁に「宣言後も違法勧誘は続いていた」と認定されてしまいました。宣言とは一体何だったのか、という話です。
「信教の自由への侵害」という主張も、耳にするたびにため息が出ます。信仰する自由は解散後も保障されており、任意団体として活動を続けることができます。守られていないのは信教の自由ではなく、法人格に紐づいた税制優遇と潤沢な資産の温存だったのではないか、と勘ぐりたくなります。
今回の解散命令は、率直に言って「ようやく」という印象です。安倍元首相の銃撃事件から3年以上が経ち、被害者の方々がどれほど長く待ち続けてこられたかを思うと、司法の時間軸のゆっくりさには複雑な気持ちになります。
教団側は最高裁への特別抗告を表明しており、まだ完全に終わったわけではありません。ただ、約1100億円の資産が本当に被害者のもとへ届くかどうかが、この問題の実質的なゴールだと考えています。清算人の権限が曖昧なまま手続きだけが形式的に進む、といった事態にならないよう、引き続き注目していきたいと思います。


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