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334件の請求、返金は11件。旧統一教会「補償委員会」の実態

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旧統一教会「補償委員会」の現状——334件の請求に対し返金は11件、その実態とは

2026年3月4日、東京高裁が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への解散命令請求に関する判断を示す。その前日、補償をめぐる新たな実態が明らかになった。


補償委員会とは何か

2022年7月、安倍晋三元首相が銃撃された事件をきっかけに、旧統一教会への高額献金問題が改めて社会的な注目を集めた。その後、被害を訴える元信者らによる「集団調停」が東京地裁で進む一方、教団は2025年10月、これとは別の対応として「補償委員会」を独自に設置した。

この委員会は外部の弁護士で構成され、献金被害者からの申告を受けて補償の可否を審査する仕組みだ。教団側は「主張の具体性や裏付け証拠、献金記録の調査などに基づいて補償を決める」としている。


数字が示す現状

関西テレビの取材によると、2026年2月24日時点で委員会に届いた請求件数は334件。そのうち返金が決定したのは11件・合計約1億6,000万円にとどまっている。

ただしこの数字には注意が必要だ。11件のうちの1件は、関西在住の1家族への返金であり、その額は約1億円。つまり残る10件の返金合計はおよそ6,000万円となる。334件の請求に対して返金が成立したのは全体の約3%であり、金額面でも1家族への集中が際立つ結果となっている。現在10件が「本審査」を受けている最中だという。


なぜ請求額が実態より少なくなるのか

被害対策弁護団が指摘する構造的な問題がある。

旧統一教会は長年、信者に対して現金での献金を求め、領収書を発行しないケースが多かったとされる。加えて「捧げたお金のことは忘れなさい」という趣旨の教義的な指導があったとも言われており、被害者自身が自分の献金総額を正確に把握できていない場合がある。

そのため、被害者が弁護士を介さずに単独で補償委員会に請求を行うと、手元にある物品や断片的な記憶をもとに金額を算出することになりやすい。弁護士が丁寧に聞き取りを行うと、本人の記憶の何倍もの金額が被害として浮かび上がるケースもあるという。

こうした構造は、補償委員会への申告が必ずしも被害の全体像を反映しない可能性を示唆している。


委員会をめぐる見方の違い

設置からおよそ5ヶ月で処理されたのが11件という点について、全国統一教会被害対策弁護団の阿部克臣弁護士は「金額・人数ともに少なくて驚いた」と述べ、審査のスピードと補償規模への懸念を示している。

一方で、補償委員会は証拠の有無や記録の照合を重視した審査プロセスをとっていると説明しており、慎重な姿勢にも一定の理由はある。

また、教団が設立した委員会であることから、その独立性や公正性を疑問視する声も一部にある。これに対し、外部弁護士で構成されているという点を評価する見方もあり、現時点では評価が分かれている。


解散命令判断との関係

本記事執筆時点(3月3日)の翌日、東京高裁が解散命令請求に関する決定を示す予定となっている。

仮に解散命令が確定した場合、教団は法人格を失い、財産は清算手続きに入ることになる。その場合、現在進行中の補償委員会の審査や、東京地裁での集団調停がどのような影響を受けるのかは、現時点では明確ではない。解散後の被害者救済の枠組みをどう整備するかは、法制度上の課題として残り続ける可能性がある。


おわりに

旧統一教会をめぐる問題は、刑事事件・宗教法人法・民事賠償・被害者救済といった複数の領域にまたがっており、単純に整理できるものではない。補償委員会の取り組みが実質的な被害回復につながるのか、それとも不十分なまま手続きが進むのか——その行方は、今後の高裁判断や集団調停の動向とあわせて注視する必要がある。


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