災害予言で便が消えて、他国の企業の赤字で税金はどこかに消えた
徳島県が香港航空の赤字を”こっそり”補填? 議会も知らない公金支出が問題に
「大災害予言」で旅客が激減し、全便運休に追い込まれた徳島〜香港線。その裏で、徳島県が県議会の承認を得ないまま、香港の航空会社「グレーターベイ航空」の赤字を補助金(税金)で穴埋めしていたことが明らかになり、波紋が広がっている。
ニュースの概要
- 時期: 2026年3月(徳島新聞の報道を機に表面化)
- 当事者: 徳島県、後藤田正純知事、香港の航空会社「グレーターベイ航空」
- 内容: 徳島県が、議会が承認した予算の範囲を超える形で、グレーターベイ航空に対する「赤字補填」に相当する補助金を支出していたと報じられている
- 現状: グレーターベイ航空は2025年9月以降、徳島〜香港線を全便運休中。運航再開の予定もないとされている
要点まとめ
- グレーターベイ航空は2024年11月、徳島空港に就航
- 2025年5月ごろ、香港の風水師による「2025年夏に日本で大地震・大津波が起きる」という予言が香港メディアで拡散
- 同年7月の香港からの訪日観光客数は前年比37%減と急落
- 2025年5月の徳島〜香港線の搭乗率はわずか22%
- 減便を経て2025年9月以降は全便運休
- 徳島県議会は2025年3月、国際定期便支援として着陸料・施設利用料など5項目を対象に、総額5億8000万円の予算を承認
- その後、議会への説明なしに、「香港便に限って経費全般を支援する」という内容が要綱に追加されていたことが判明
- 運賃収入を差し引いた経費全般を補助できる仕組みのため、実質的な「赤字補填」に相当するとされている
- 支出金額は「営業秘密」を理由に非公開
背景
なぜ香港線を誘致したのか
後藤田正純知事は2023年に就任後、徳島県への観光誘客を推進する方針を掲げてきた。県の宿泊者数が全国最低水準にあることを問題視し、国際航空路線の拡充を重要施策と位置づけていたという経緯がある。香港については「750万人のうち3分の1が訪日する」市場として重視し、徳島〜香港線の誘致に積極的に動いた。
「予言騒動」とは何か
騒動の発端となったのは、日本の「予言本」とされる書籍の内容が香港のSNS・メディアで拡散したことだ。「2025年夏に日本で大地震・大津波が起きる」という内容で、香港の風水師がこれを肯定するコメントをしたことで信じる人が続出。香港からの訪日旅行のキャンセルが相次いだとされる。大災害は実際には起きなかったが、その影響は数ヶ月間にわたって続いた。
補助金の仕組み(補足)
地方自治体が国際航空路線を誘致する際、着陸料の割引支援や旅客数に応じた補助金を航空会社に支払う慣行は全国的に存在する。ただし通常は、補助の項目・金額・条件を議会に諮り(はかり)、承認を得た上で執行するのが基本とされている。
争点・論点
[争点1] 議会を通さない予算運用は適法か
県議会は2025年3月、5項目の費用補助に限定した予算を承認した。しかし、その後に「経費全般を支援する」内容が要綱に追加されていた。
- 県の説明: 「要綱の改正は制度上、議会の承認を必要としない。予算の目的に変更はなく、予算の範囲内での支出を前提にしていた」
- 批判側の主張: 「私たちは事業費の補助として賛成した。損失補填という内容に変えるなら、議会に改めて説明すべきだった」(仁木啓人・国民民主党 徳島県議)
[争点2] 支出額の非公開は妥当か
徳島県はグレーターベイ航空に対してどれだけの額を支払ったか、「航空会社との営業秘密」や「他の自治体との路線誘致競争」を理由に非公開としている。
- 県の説明: 「国際定期便に係る運航支援の全体予算の執行額については議会に説明している。個別の支援額は公開できない」
- 批判側の主張: 「原資は県民の税金。外国企業との契約を理由に公金の使途を隠すことは許されない。チェックができないブラックボックスを作っていいのか」(仁木県議)
[争点3]「赤字補填」か「運航支援」か
後藤田知事は「赤字補填という表現は心外だ」と述べ、「運航支援」という言葉を使うよう求めている。
- 知事の立場: 「民間企業が赤字覚悟で徳島のために動いてくれる。それに応えるのが戦略的な投資だ」
- 批判側の視点: 搭乗率22%で全便運休に至った路線への継続支援を「戦略的投資」と呼べるかどうか疑問視する声がある。県のホームページには「他国の私企業の赤字を税金で肩代わりする優先順位が間違っている」という声も届いている
[争点4] そもそも香港線の集客効果はあったのか
地元の観光関係者の間では、香港便への期待感が薄い声も聞かれるという。
- 遊覧船の運転手は、香港からの来客は「大したことがない」と語り、韓国からの観光客のほうが増加していると証言している
- 道の駅の代表者も「行政に頼らず自分たちの情報発信力を高めていくべきだ」と述べており、行政主導の集客策に対して懐疑的な見方を示している
まとめ
今回の問題の核心は「誰が何をどう決めたか」が見えないことにある。徳島県は「適法な手続きだ」と主張しているが、予算の使い道が変わった経緯、支出額、支援の効果について、議会や県民が確認できる情報は限られている。グレーターベイ航空は現時点でも運航再開の見通しを示しておらず、投入された公金の成果が問われる状況が続いている。
参考・情報源
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筆者のコメント

「予言で飛行機が飛ばなくなった」って、文章にすると相当シュールなんですが、問題の本質はそこじゃなくて「金額も分からないまま税金が使われていた」という点ですよね。
後藤田知事の「戦略的投資」という言葉、言いたいことはわかるんですが、搭乗率22%・全便運休・再開の見通しなしという現実を前にすると、ちょっと苦しいかなという印象です。
そもそも予算の使い道をあとから変えるなら、議会に一言いうのが普通じゃないかと。「要綱の改正に承認は不要」というのは制度上そうなのかもしれませんが、「ルール上セーフ」と「やっていいこと」はイコールじゃないと思うんですよね。
地元の観光関係者が「香港便はあまり関係ない」「自分たちで発信するしかない」と言っているのも印象的でした。現場の感覚と行政の戦略がズレていたとしたら、それはそれで気になります。
金額が非公表のままでは、県民が「それだけの価値があったか」を判断できません。まずは情報を出して、きちんと検証できる状態にして、県民を納得させてほしいところです。


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