神奈川県警の不正取り締まり問題、反則金返還は3分の1が完了——2716件取り消しの全貌
前に神奈川県警の記事取り扱ってるんでそれもどうぞ。↓
また伝説が増えたので、神奈川県警が気になりだした今日この頃
ニュースの概要
神奈川県警は2026年3月23日、不適切な交通取り締まりをめぐる反則金返還の進捗状況を発表した。
発表によると、2月20日からの約1か月間で、返還対象者のうち972人(約36.7%)への返還が完了したという。違反の取り消しについては、対象者のおよそ4割と連絡が取れている状況だ。県警は「半年以内に完了するペース」としており、引き続き作業を進めるとしている。
事件の要点
- 不正の期間: 2022年3月〜2024年12月(約2年半)
- 不正の主体: 神奈川県警第2交通機動隊・第4小隊(茅ヶ崎分駐所)
- 取り消し件数: 2,716件(県警の記録に残る範囲では過去最大規模)
- 返還額: 約3,457万円
- 書類送検: 40代男性巡査部長ら計7人(容疑:虚偽有印公文書作成・同行使)
- 懲戒処分: 計24人(前本部長・退職者含む)
- 謝罪: 今村剛本部長が記者会見で「信頼を大きく損なった」と陳謝
何が「不正」だったのか
1. 追尾距離の虚偽記載
速度超過の取り締まりでは、パトカーが違反車両の後方を一定距離走行して速度を確認する「追尾測定」という手法が使われる。今回の問題では、実際の追尾距離が20m程度だったにもかかわらず、反則切符に「約100m追尾した」などと、実際より長い数値を記載していたと報じられている。
2. 虚偽の実況見分調書
反則金を納付しなかった運転者に対しては、警察官が現場で実況見分(現地での状況確認・記録作業)を行い、書類を作成しなければならない。しかし当該巡査部長らは現場に行かず、インターネット上の地図を流用するなどして虚偽の調書を作成していたという指摘がある。
3. 小隊ぐるみの関与
40代の巡査部長が2022年3月に着任して以降、不正を主導したとみられる。上司の警部補も書類改ざんに関わった可能性があるとされ、県警は「巡査部長が中心的役割を果たし、上司もとがめず同僚も追従していた」と分析している。
発覚の経緯
発端は2024年夏、車間距離不保持で取り締まりを受けた運転者からの相談だった。「現場で受け取った告知書の車間距離と、後日届いた通告書の内容が違う」という訴えを受け、ドライブレコーダーの映像を確認したところ、反則切符の記載が実際と異なることが判明。調査を進めると、第4小隊による不正が次々と明らかになったと報じられている。
背景・問題の構造
- 「間違った正義感」という供述: 40代の主導巡査部長は調査に対し「悪質な違反を道路から排除したかった」「対象車両が追尾に気付いて減速した場合でも、違反認定していた。今思えば間違った正義感だった」と供述しているという。
- 違反行為のねつ造はなし: 県警によると、違反そのものを完全に作り上げた事例は確認されていない。ただし、適正な手順での立証ができない取り締まりが多数含まれていたため、一括取り消しの判断に至った。
- 組織的な監督不足: 県警は「警部以上による業務管理不足」が不正の背景にあると分析。1年半にわたる内部調査期間の長さも、事後対応の問題として指摘されている。
- 前例との比較: 他県の類似事例(北海道警:47件、沖縄県警:269件)と比べ、今回の2,716件という規模は桁違いとされる。福岡県警でも2023年に約1,600件の不適切取り締まりが確認されており、全国的な問題として波及している。
論点・争点
- 反則金の返還だけでは不十分ではないか: 不当な取り締まりにより、ゴールド免許(優良運転者の証明)を失った人や、免許停止・取り消しにより仕事を失った可能性がある人が含まれるという指摘がある。反則金返還のみでは補償が不十分との見方もある。
- 損害賠償訴訟のリスク: 元警視庁関係者からは、「免許取り消しで職業ドライバーが損害を受けた場合、数億〜数十億円規模の訴訟になる可能性がある」との見解も示されている。
- 交通取り締まり制度への信頼: 「警察官の現認(実際に目で確認すること)」を根拠とする交通反則通告制度の根幹が揺らぐ事態として、警察庁も全国の警察本部に取り締まり状況の点検・指導チームを新設した。
- ドライブレコーダーの重要性: 今回の発覚がドライブレコーダーの映像によって証明されたことから、客観的証拠としての車載カメラの意義が改めて注目されている。
現在の対応状況
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 違反取り消し件数 | 2,716件 |
| 返還決定額 | 約3,457万円 |
| 返還完了(2026年3月23日時点) | 972人(約36.7%) |
| 連絡済み(取り消し対象) | 対象者の約4割 |
| 完了見込み | 約半年以内 |
| 対象者の居住地域 | 38都道府県(2026年1月時点) |
神奈川県警は290人体制のプロジェクトチームを設置し、対象者への個別連絡を進めている。
参考・情報源:「神奈川県警 不適切取り締まり 反則金返還」で検索
筆者のコメント

「間違った正義感だった」という言葉、なかなか味わい深いですよね。 悪質ドライバーを取り締まりたいという気持ちはわかる。でもその「正義」を実現するために、書類をでっち上げていたわけです。正義のために不正をする、というのはもはや正義ではないのでは、という気もしますが。
返還が完了したのはまだ3分の1ほど。対象者は38都道府県に散らばっているそうで、290人体制で個別連絡を進めているとのことです。ご苦労なことですが、そもそもやらかさなければ発生しなかった作業であることは、ぜひ忘れないでいただきたいところ。
ゴールド免許を失った方や、免許取り消しで仕事に影響が出た方は、反則金が戻ってきたところで「はい解決」とはならないはずです。今後どこまで補償の議論が広がるか、引き続き注目していきたいと思います。
それにしても、発端が「告知書と通告書の内容が違う」という市民の気づきだったというのは、皮肉というか、なんというか。ドライブレコーダーがなければ、2,716件はそのまま闇に消えていたかもしれません。



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